About

慶應義塾大学 戦略構想センター(KCS)とは

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慶應義塾大学戦略構想センター(Keio Center for Strategy: KCS)は、世界情勢の不確実性と不透明性が増す中、慶應義塾大学に所属する戦略研究、安全保障研究、国際政治研究、地経学研究など様々な学問領域のエキスパートらが協業し、通常の学部によって分かれている学問領域を横断する学際的及び総合的な研究・提言を行うために、2023年3月1日にKGRI (Keio University Global Reaserch Institute)内に設立されました。

政府と民間の協力(Public-Private Partnership)や、経済と安全保障の融合(経済安全保障)、戦略的コミュニケーション、地政学などの視点も含めて、従来の垣根を越えた研究活動を目指します。

大学(Academia)、経済界(Business)、政府(Government)からの参画を得て、交流の場として、幅広い視野から実践的、応用的な研究を進めていくことになります。また、海外の大学やシンクタンクなどの交流も活発に進めていき、より広範な知のネットワークのハブとして、国際的な政策研究を行います。さまざまな発信やアウトリーチ活動も行っていき、大学の持つ知のリソースを活用した、世界的な拠点形成を目指します。

学術界を中心とした活動

国際的な
知のネットワーク

KCSでは、国内外のトップレベルの研究機関と連携し、最先端の学術研究を推進しています。米国や英国の大学と国際共同研究プロジェクトを展開し、定期的な国際会議を主催するほか、欧州やオーストラリアの大学研究機関との意見交換を通じた持続的なネットワークの形成や海外研究者との会合を定期的に実施しています。

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政府・有識者との連携活動

政府との
コミュニケーション

KCSは、国内外の政府関係者との意見交換を定期的に実施することで、情勢認識をアップデートすると同時に、問題解決のための知見を提供し、国内外の政策議論を促進しています。2023年度には内閣府の委託事業を引き受け、政府傘下のシンクタンク成立に向けての研究調査を実施しました。

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経済界との連携活動

戦略形成への
パートナーシップ

KCSは公開イベント等を通じた専門的な知見の共有に加え、法人企業会員を対象に様々な意見交換の場を設けています。
慶應の教授陣が国際情勢に際した最新のテーマを解説し、実践的な知見を提供する出張講義や、第一線で活躍する実務家や専門家を講師に迎える月例の少人数非公開勉強会、海外の専門家をお招きし政府関係者も参加する意見交換会などを行っています。これらの活動を通じた意見交換では、双方向の学びを重視しています。組織の人材育成や戦略立案に役立つ知見の提供だけでなく、ともに未来を創るパートナーとなることを目指します。

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ご挨拶

Message

戦略研究センター センター長

細谷 雄一 (Yuichi Hosoya)

センター長 挨拶

 いま、世界が大きく混迷しています。新型コロナウイルスが世界を分断し、ロシアのウクライナ侵略が世界を震撼させ、そしてナショナリズムやポピュリズムの台頭が先進民主主義諸国の政治基盤を動揺させています。そのようななかで、それぞれの国家が、より長期的な視座から、そしてより広い視野から、戦略を構想し、それを実践していくことが求められています。

 慶應義塾大学戦略構想センターは、そのような世界が大きく揺れ動き、よりいっそう不透明性を増す中で、2023年3月に誕生しました。それぞれの学問分野の狭い垣根を越えて、多様な問題を、学際的および実践的に検討をして、その研究の成果を積極的に発信していくことを目指しています。

 慶應義塾の創設者である福沢諭吉は、学問において「実学」の重要性を説きました。それは、実証的に真理を解明し問題を解決していく学問姿勢であり、現実世界に目を向けてその課題に取り組むことだと考えます。そのような志をわたしたちも継承し、戦略構想センターでは世界の抱える、そして日本の抱える多様な問題に、真摯に、そして実証的かつ学問的基礎に基づいて向き合っていきます。

戦略構想センター 副センター長​

森 聡 (Satoru Mori)

いま「戦略」を構想する意義

 「戦略」という語は、その原型とされるstrategos、strategiaといった言葉が古代ギリシャで使用されていたことが確認されています。時代とともに戦争観が変遷し、軍事のみならず、経済なども含めた国家資源を総合的に動員するグランドストラテジーという概念が登場するなど、「戦略」の定義は多様化し拡散してきました。英国の戦略研究の大家ローレンス・フリードマンは、2023年5月に第3版が刊行された論集『新・現代戦略思想の系譜』に寄稿した論文で、戦略という語の定義と用法の変化の歴史をたどり、「過去250年の間に、『戦略』はほとんどあらゆる人間の営みに潜在的に関係しうる総花的な言葉になった」と指摘しています。

 いま世界は主要な大国が一国主義的な傾向を強めつつあり、価値規範の共有度が低下していく局面に入っています。利害が衝突した時に、共通の価値規範に基づいて交渉を行い、互いが納得できる決着を実現するのが困難となりつつあり、国際政治の予測不能性が増しています。また、国家と国家はヒト、モノ、カネ、技術に至るまで複雑に絡み合っていますが、それらが武器化される傾向も増しています。こうした時代認識の下で、国際的な知のネットワークの中に身を置いて、「戦略」とは何かという理解を更新しつつ、日本の「戦略」のあり方を議論し考え抜いて構想することが求められています。

 現代において「戦略」を構想する意義は、こうした不確実性と流動性に満ちた現代の世界を生き抜いていくための針路を見出すことにあるといえます。自らが直面するリスクを把握し、どのようなリスクを優先的に抑えていくべきかという判断を下して、リソースの制約を念頭に置きながら、様々なリスクに対処するための方法と手段を体系的に一貫・整合させる「戦略」を不断に見直していかねばなりません。慶應義塾大学の戦略構想センターは、こうした営みを実践する塾内外の専門家や将来が有望な若手研究者を集めた知的集団の拠点となることを目指します。

戦略構想センター 副センター長​

鶴岡 路人 (Michito Tsuruoka)

大学発シンクタンクの意義

 国際関係や各国の政治や社会が流動化するなかで、政策研究の必要性は上昇しています。そうしたなかで、日本でもさまざまなシンクタンクが活動しています。大学にも、「研究所」と名のつく組織は以前から多数ありますが、政治や外交、安全保障を起点に、経済や技術の問題を含む「戦略」を扱い、現代の政策研究を主眼としたものは、まだ数が限られます。日本では、現代的な課題に関する政策研究が、学術研究としては重視されてこなかったという背景があります。

 慶應義塾大学戦略構想センター(KCS)では、慶應義塾大学の教員による学術研究を基礎として、日本における新たな政策研究のあり方を確立できるように努めていきます。政策研究自体の方法論を構築することで、学部や大学院での教育に反映させるほか、政策研究を通じて、大学と社会の新たな関係のあり方も模索していきます。

 また、大学に設置されたシンクタンクとして、日本の政策研究を率いる次世代の育成を、主要な役割の一つとして掲げています。大学院生、さらには学部学生がリサーチアシスタント(RA)としてシンクタンクにおける政策研究や組織運営の現場を、すでに経験しています。さらに、特任助教の制度を用いて、政策研究の新たな担い手を育成していきます。大学院生や若手研究者が、政策研究を志す国際的なネットワークに加わることも重要です。そのため、KCSと各国との研究機関の間の交流や共同研究には、特任助教やRAも積極的に参加することを奨励していきます。