国際共同研究

若手研究者・次世代リーダーの育成

不確実性が高まる時代における安定した国際秩序の再構築を目指し、
日米英の有識者とともに新たなグランドストラテジーを検討します。/
民主主義、法の支配、自由貿易といった価値観を共有する3か国が連携し、
地域の安定化と新しいリーダーシップモデルを示します。

秩序はいかに形成されるのか/なぜ日米英なのか


秩序の動揺が語られて久しいですが、そもそも国際秩序とは何か、そしてそれはいかにして形成されてきたのでしょうか。
この点について、G. John Ikenberry は、国際秩序は世界戦争とその後の講和の過程を通じて形成されると指摘しています。
その視点に立つならば、現在の国際秩序は、第二次世界大戦とその後に成立した国連憲章を基盤としていることになります。

いま我々が享受している秩序は、戦後になって突如生まれたものではなく、第二次世界大戦の渦中において、
イギリス、アメリカ、ソ連を中心にすでに模索されていました。
他方、当時の日本は、戦争の帰結としていかなる秩序を構築するのかという問いを
主体的に構想する発想それ自体を十分には持ち得ていなかったことを、北岡伸一は指摘しています。
それは単なる外交上の失策ではなく、国際秩序を「与えられるもの」として捉え、自ら構想する対象として認識してこなかった、
日本近代の国際感覚の限界が表れていたとも言えるでしょう。

世界戦争と講和によって秩序が形成されるのであれば、秩序を構想する営みは果たしていつから始められるべきなのでしょうか。
この問題について、E. H. Carr は1942年に発表したThe Conditions of Peaceにおいて、戦争の只中に秩序を構想するのでは遅く、
拙速を避け、平時においてこそ、来るべき秩序を練り上げなければならないと論じました。
秩序とは、戦争の結果として自然発生的に出現するものではなく、人間の手による政治的・知的営為の産物だからです。

この観点に立つならば、現在われわれが直面している国際秩序の動揺もまた、単なる危機としてのみ捉えるべきではないのかもしれません。
仮に今後、世界が大国間競争の激化を経て、より深刻な国際対立の時代へと進むのであれば、
日本は初めて、主体的に新たな秩序を構想することを迫られることになります。

本プログラムは、こうした問題意識のもと、日・英・米の歴史家を中心に、
国際政治学者、戦略研究者、政策実務家らが議論を行う場として構想されています。
現在の秩序を所与の前提として受け入れるのではなく、それがいかなる歴史的経験の中から形成され、
いかなる思想と戦略によって支えられてきたのかを検討することを通じて、
来るべき国際秩序を構想するための歴史的想像力を涵養することを目指しています。

国際秩序の形成と変容を歴史的視座から捉え直し、その将来について慎重かつ継続的に思索を深める必要性に関心をお持ちの方には、
ぜひ本プログラムにご協力いただければ幸いです。


助成・スポンサー

国際交流基金(The Japan Foundation)

独立行政法人国際交流基金(The Japan Foundation、JF)は、総合的に国際文化交流を実施する日本で唯一の専門機関です。JFは、1972年に外務省所管の特殊法人として設立され、2003年10月1日に独立行政法人となりました。(https://www.jpf.go.jp/j/about/index.htmlより引用)

共同研究パートナー

パートナー画像

KCS
Keio Center for Strategy
Japan

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KCS センター長

細谷 雄一

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KCS 特任助教

山本 みずき

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Centre for Geopolitics
University of Cambridge
UK

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地政学センター 所長

ブレンダン・シムズ

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地政学センター 日本・韓国プログラム長

ジョン・ニルソン=ライト

パートナー画像

Henry A. Kissinger Center
Johns Hopkins SAIS
US

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SAIS キッシンジャー国際問題センター初代所長

フランシス・ギャビン

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SAIS ウィルソン・E・シュミット特別教授

セルゲイ・ラドチェンコ

プロジェクト・ディレクター

Project-director

Brendan Simms

Brendan Simms

ブレンダン・シムズは、ケンブリッジ大学のヨーロッパ国際関係史教授であり、地政学センター(CFG)のディレクターを務めています。彼は公共政策と、政府に歴史的理解をもたらすことに長年関心を寄せており、同センターでは研究、イベント、サマースクール、円卓会議、シミュレーション、政府アナリスト向けのビジタープログラムを通じてそれらを提供しています。地理的な観点では、バルト海地域の地政学、イギリス連合、中東におけるウェストファリア体制の構想、そして歴史的および現代におけるヨーロッパと東アジアのつながりに焦点を当ててきました。同センターに加えて、シムズはヘンリー・ジャクソン協会と民主主義連合プロジェクトという2つの組織を設立しました。CFGは、イギリス、アメリカ、ヨーロッパ大陸の4つの大学のネットワークであるアクセルソン・ジョンソン国政外交研究所(Ax:son Johnson Institute for Statecraft and Diplomacy)の一部です。彼の著作はヨーロッパ言語や非ヨーロッパ言語など多くの言語に翻訳されており、『Europe, the struggle for supremacy, 1453 to the present day』(Penguin Press、2013年)、『Britain's Europe. A thousand years of conflict and cooperation』(Penguin Press、2016年)、そしてチャーリー・レイダーマンとの共著である『Hitler's American Gamble. Pearl Harbor and the German March to Global War』(Penguin Press、2021年)などがあります。現在は、現代の大国に関する著書を執筆中です。

Francis Gavin

Francis Gavin

フランシス・J・ギャビンは、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際関係大学院(SAIS)のジョヴァンニ・アニェッリ特別教授であり、ヘンリー・A・キッシンジャー国際問題センターの初代ディレクターです。それ以前は、マサチューセッツ工科大学(MIT)の初代フランク・スタントン核安全保障政策研究寄付講座教授、およびテキサス大学のトム・スリック国際問題教授兼ロバート・S・ストラウス国際安全保障・法センターのディレクターを務めていました。シカゴ大学で政治学の学士号、オックスフォード大学で近代ヨーロッパ史の修士号(MSt.)、ペンシルベニア大学で歴史学の博士号を取得しています。これまでに、ハーバード大学オーリン研究所の国家安全保障フェロー、ハーバード大学ベルファー科学・国際関係研究所の国際安全保障フェロー、テキサス大学のドナルド・ハリントン・ファカルティ・フェロー、スミス・リチャードソン・ジュニア・ファカルティ・フェロー、ノルウェー・オスロのノーベル研究所シニア・リサーチ・フェロー、ウッドロー・ウィルソン・センターの公共政策スカラー、ハーバード大学ジョン・F・ケネディ・スクールのアーネスト・メイ応用歴史学シニア客員教授などを歴任しています。

Yuichi Hosoya

Yuichi Hosoya

細谷雄一は、慶應義塾大学法学部の教授であり、慶應義塾大学戦略構想センター(KCS)のセンター長を務めています。立教大学法学部を卒業後、バーミンガム大学で国際学修士号(MIS)を取得しました。その後、慶應義塾大学で法学博士号を取得しています。これまでにプリンストン大学客員研究員(フルブライト・フェロー)、パリ政治学院客員教授(日本チェア)、ケンブリッジ大学ダウニング・カレッジ客員研究員を務めました。また、国家安全保障会議(NSC)顧問会議委員(2014年〜2016年)、安倍晋三政権の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」委員(2013年〜2014年)、安倍晋三政権の「安全保障と防衛力に関する懇談会」委員(2013年)にも任命されています。

John Nilsson-Wright

John Nilsson-Wright

ジョン・ニルソン=ライトは、ケンブリッジ大学アジア・中東研究学部(FAMES)の准教授であり、同大学の地政学センターで日本・韓国プログラムの責任者も務めています。また、ダーウィン・カレッジのオフィシャル・フェローでもあります。オックスフォード大学のクライスト・チャーチおよびセント・アントニーズ・カレッジ、ジョンズ・ホプキンス大学SAISを卒業しています。2014年3月から2016年10月までチャタムハウス(王立国際問題研究所)のアジアプログラム責任者を務め、同機関のアジア太平洋プログラムの北東アジア担当シニア・リサーチ・フェローおよび韓国財団フェローも歴任しました。また、韓国・ソウルの世宗研究所の非常勤フェロー、シンガポール国立大学(NUS)東アジア研究所韓国センターのシニア非常勤フェロー、ウィーン大学北朝鮮研究センターの非常勤フェローも務めています。彼の研究は、日米同盟関係などの冷戦史や、日本と韓国に関連する北東アジアの現代の国際関係および政治に焦点を当てています。政策立案においては、地域の安全保障と東アジアにおける同盟関係の性質の変化に重点を置いています。現在、ヨーロッパおよび北東アジアの双方における歴史的かつ現代的な現象としてのポピュリズムとアイデンティティ政治に関する単著を執筆中です。

Sergey Radchenko

Sergey Radchenko

セルゲイ・ラドチェンコは、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際関係大学院(SAIS)のウィルソン・E・シュミット特別教授です。冷戦、核の歴史、ロシアおよび中国の外交・安全保障政策について幅広く執筆しています。ウッドロー・ウィルソン・センターのグローバル・フェローおよび公共政策フェロー、華東師範大学(上海)の紫江特別教授を務めました。ラドチェンコ教授の著書には、『To Run the World: the Kremlin's Cold War Bid for Global Power』(ケンブリッジ大学出版局、2024年)、『Two Suns in the Heavens: the Sino-Soviet Struggle for Supremacy』(ウィルソン・センター・プレスおよびスタンフォード大学出版局、2009年)、『Unwanted Visionaries: the Soviet Failure in Asia』(オックスフォード大学出版局、2014年)などがあります。ロシアのサハリン島出身で、アメリカ、香港、イギリスで教育を受け、2005年にロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)で博士号を取得しました。SAISに加わる前は、モンゴル、中国、ウェールズで生活し、働いていました。

Mizuki Yamamoto

Mizuki Yamamoto

2025年度慶應義塾大学法学研究科博士課程修了、博士(法学)取得。日本学術振興会特別研究員(DC2)、ケンブリッジ大学訪問研究生を経て、2024年9月より現職。2025年4月より東京大学大学院法学政治学研究科特任研究員(日本学術振興会特別研究員-PD)を兼任。主な著作に『国際社会にて、名誉ある地位を占めたいと思ふ』(共編著、2020年)、マイケル・ウォルツァー『聖徒の使命:急進的政治の起源』(共訳、2022年)、『民主主義は甦るのか』(共著、2024年)など。2025年、ケンブリッジ大学よりColin Bell Awardを受賞。

国際会議・シンポジウム

Conference/Symposium

3年間にわたる本プログラムでは、毎年国際研究会および一般公開されるシンポジウムを開催いたします。
国際秩序の形成に対する歴史的理解の深化及び将来の秩序形成の構想という目的のため、各会議ではテーマに即した専門家を結集させ知見を蓄積するとともに、シンポジウムを通じてその成果を広く公開していきます。

ボローニャ会議

ボローニャ会議

2026年3月開催

本会議は、第一線で活躍する歴史家や戦略家が一堂に会し、国際秩序がこれまでどのように構築され、争われ、再編されてきたか、そしてそれらの経験が権力と正当性の永続的な構造をどのように形成してきたかを探究するものです。ヨーロッパ中心の視点を超え、これまで軽視されてきた非ヨーロッパ地域全体からの秩序のビジョンを組み込んでいます。その目的は、これらの歴史的軌跡が、21世紀における国際秩序構築の可能性と制約の双方について何を明らかにしているかを評価することです。
本会議は、2026年3月5日から7日にかけて、イタリアのボローニャで開催されます。チャタムハウスルールに基づく本会議は、3月5日(木)のウェルカムディナーから始まり、続いて3月6日(金)には終日のセッションとディナーが行われます。
本会議は国際交流基金(Japan Foundation)の協賛を受け、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際関係大学院(SAIS)のヘンリー・A・キッシンジャー国際問題センター(ワシントンDC)、ケンブリッジ大学の地政学センター(英国・ケンブリッジ)、および慶應義塾大学戦略構想センター(東京)によって共同で開催されます。

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ケンブリッジ会議

ケンブリッジ会議

【開催予定日】2026年3月

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東京会議

東京会議

【開催予定日】2027年

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