第9回KCSエキスパートラウンドテーブル 「トランプ時代における日本のグランドストラテジーと自由で開かれたインド太平洋(”Japan's Grand Strategy and the Free and Open Indo-Pacific in the Age of Trump”)」

第9回KCSエキスパートラウンドテーブル 「トランプ時代における日本のグランドストラテジーと自由で開かれたインド太平洋(”Japan's Grand Strategy and the Free and Open Indo-Pacific in the Age of Trump”)」

 慶應義塾大学戦略構想センター(KCS)は、2026年7月27日、第9回目となるエキスパートラウンドテーブル(ERT)を開催いたしました。講師にシンガポール南洋理工大学准教授の古賀慶 氏をお招きし、「トランプ時代における日本のグランドストラテジーと自由で開かれたインド太平洋(”Japan's Grand Strategy and the Free and Open Indo-Pacific in the Age of Trump”)」というテーマでご講演いただきました。

 研究者や政策専門家、在京の外交官、慶應義塾大学の学生らが参加したERTでは、まず古賀氏より、2026年3月に出版されたご共著Japan’s Grand Strategy: Liminal Power in an Uncertain Worldをもとに、日本のインド太平洋戦略についてお話しいただきました。日本の大戦略をめぐる理論をご紹介いただくとともに、自由で開かれたインド太平洋(FOIP)につながる「日本の自由で開かれたインド太平洋」の発展の歴史と、今後の展望と課題についてお話しいただきました。

 その後の質疑応答及びディスカッションでは、本書で用いられたグランドストラテジーの分析上の定義や、FOIPにおける目標とアプローチの区別のあり方、それがビジョンであるとともに戦略的な性質をもつ枠組みとしての性格を持ち、単なるレトリックを超えて、リソースを引き出す機能を発揮していることなどについて議論が行われました。また、FOIPの特徴は、発展に伴って目標が追加されたことにあり、「戦術的ヘッジング」として、各国の反応を探る働きを持っている点も注目に値すると指摘されました。このほかにもFOIPの来歴と戦略三文書との関係、分析的枠組みに照らしてみた場合に予想されるFOIP変質の条件、アメリカのコミットメントに対する懸念、ミドルパワー連合への限定的な期待など、日本外交の現状と課題に関する幅広い論点について講師と参加者との間で活発な議論が交わされました。